
目覚めると、大きな雨粒の大群が
窓の外でまっすぐに落ちておりました。
午前中いっぱいは決して降り止まないと示してくる重い雫が
次々に秋色の葉を道連れにして土へ還りゆく様に、
「自分はまだそのタイミングではないのに」
そう思いながら地に落ちた個体もあるだろうかと
今日はとくに下を見ながら歩いておりました。
くぼんだ路面でたっぷりの水に浸る赤や黄色が
たまらなく美しいのです。
朽ちていく時間も、"一生"の魅力ですね。
七種 諭
SATOSHI SAIKUSA
パリを拠点とし世界的に活躍していた
日本人ファッションフォトグラファーです。
私が心の底から熱狂し、果てのない尊敬を感じ、
生きがいにすら感じていた大きな大きな存在でした。
2021年9月28日
京都で急逝。
享年 62
いつか必ずお会いしたいと熱望していた私は
そのときに恥じぬ実績を積んでおこうと自分を鼓舞したり、
あわよくばポートフォリオも見ていただきたいなどとも思ったり、
そんな風に勝手な想いをつのらせておりました。
喪失感
放心
腹から力が出ない1ヶ月を過ごしました。
寂寥感に包まれている今が、
そういう私を否定も肯定もしないような
優しい秋でよかったなと感じています。
七種 諭
私にとって偉大すぎるフォトグラファー
圧倒的な実績と、評価に相応しい作品の数々。
完璧な構図で魅せるモノクロ写真が特に大好きでした。
どうかゆっくり休まれてください。
本当にありがとうございました。
HII
